文:Daniel Robson
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ライブにスペクタクルを求めるなら、和楽器バンドのライブ以外探す必要はない。
ステージ上で、日本の伝統楽器と荒々しいギターロックの驚くべきブレンドが、民族文化を最高に押し上げる彼らのショーマンシップによって更に素晴らしいものとなる。
日本で最もエキサイティングなライブを行うバンドの一つとしての和楽器バンドの定評は、彼らの国際的成功の鍵となっている。Zepp ダイバーシティ東京での2日間のソールドアウトワンマンライブ(ジャパンツアー絢爛和奏演舞会の一環)の初日に、バンドメンバーがステージを去った瞬間、7月に開催されるアメリカカリフォルニア州でのライブ日程が発表された。
しかし先走らず行こう。少し巻き戻し、2016年5月12日に2500人の熱狂的ファンを興奮させたZeppダイバーシティ東京でのライブを味わおう。
まず、和楽器バンドは新曲を用意していた。すれ違う心を歌う切ないラブソング”Strong Fate”でライブが始まり、テレビアニメ“双星の陰陽師”の主題歌”Valkyrie –戦乙女-“をアンコール1曲目で披露した。6月24日日本発売予定のスプリットシングルのタイトルにある”Valkyrie”とは、神話に登場する女戦士のことで、荒々しいギターと津軽三味線がそれを表現していた。
そして過去の人気曲も登場した。YouTubeで4000万ビューを記録した圧倒的な“千本桜”はファンの一番人気だ。 日本民謡とロックスタイルを融合させた和楽器バンドの代表曲だ。この曲の演奏中には、蜷川べに、神永大輔、町家が完璧なロックポーズをキメ、津軽三味線、尺八、ギターそれぞれのソロ演奏は観客の目を釘付けにした。
最初から最後まで鈴華ゆう子のボーカルは力強さと美しさを同時に見せつけた。伝統的な詩吟ボーカルスタイルを巧みに操り、“追憶”と“吉原ラメント”で郷愁をかきたて、“鋼 -HAGANE-”と“白班”では自然の力強さを表現した。
彼女のバンドメイトも激しくロックする。“戦 – ikusa-”では、ハープに似た琴と尺八が、かき鳴らされるギターサウンドを更に押し出し、エネルギッシュなオディエンスは紫色に光る棒を持ってレスポンスを送った。
エレクトリックなアレンジメントが施された”華火” と”Valkyrie –戦乙女-“は凄まじい熱と雷のような衝撃を運んだ。また、”進撃の巨人 “dTVシリーズのテーマ曲である”反撃の刃”は、ドラマチックでヴァイオレンスな世界観を完璧に表現した。
琴線に触れる繊細な瞬間もあった:切ない失恋ソング”風鈴の唄うたい”のパフォーマンスは、津軽三味線と尺八の風に舞い落ちる桜吹雪のようだった。
8人のメンバーそれぞれの演奏が起こす化学反応が和楽器バンドをこれほどまでにかっこよくする理由だ。Zeppダイバーシティでは、それぞれがその抜きに出たテクニックをソロ演奏で披露した。琴奏者のいぶくろ聖志、ギターの町屋とベースの亜沙、ドラムの山葵は” 遠野物語:九四”でメタル演奏を披露した。
更に町屋は、悲しげな“白班”で深く感情に訴えるボーカルを、ロックナンバー”Perfect Blue”では、スピード感溢れるラップを披露した。
最も興奮したのは、筋肉隆々の山葵とカリスマ性溢れる太鼓マスター黒流の和太鼓とドラムのバトルだ。お互いにキャッチボールをしているかのように演奏し、想像上のボールを受け取る振り付けされたパフォーマンスをしながらドラムバトルを展開し、テンポを上げながら、オディエンスとコールアンドレスポンスを行った。コンサートと芝居が融合したスリリングでエンターテイニングな演出だった。
和楽器バンドのメンバーは、ファン参加型ライブを楽しんでいたことは間違いない。ステージ上のクイズでは、メンバーからの矢継ぎ早の質問に答えられなかったゆう子が、マイケル・ジャクソンのモノマネをさせられたり、“チュッパ・チャップス”とエロティックな口調で言わされたり、「お母さんに秘密にしていることは?」と聞かれ恥ずかしさに困惑していた。
「でも...お母さんに隠し事はしていません!」とゆう子が言いうと、「嘘だろ、今夜お母さんここに来ていますよ!」
しばらくすると、黒流のために大きなバースデーケーキがステージ上に運ばれ、ゆう子は観客をハッピーバースデーの大合唱へと促した。バンドメンバーがケーキの中に入るのを見て、べには「ねえ、何これ?ウェディングパーティか何か?」と言った。
和楽器バンドのライブを体験する理由がまだ必要だとするなら、8人のメンバー全員がセクシーだということもある。全員が、伝統的な着物や浴衣をアレンジしたオリジナルの衣装に身を包んでいる。山葵の筋肉隆々の体はフェイクタトゥーで飾られて、背中には書道で“ガンダム”と書かれ、それは会場のガンダム像にちなんだものだった。べにのオフショルダードレスにはスリットが入り、ブーツを履いた足が見え隠れする。大輔は尺八を回し、町屋がギターを手にターンすると彼のスカートがなびく。
ゆう子は真っ赤なドレスに花魁風の黒い着物を羽織っている。髪はかんざしでとめられ、上品でセクシーだ。優雅に動きながら赤い傘を手に“吉原ラメント”を歌った。
最後にキャッチーな“星月夜”とロックな”Perfect Blue”で、エネルギーを爆発させライブは幕を閉じた。
そしてアンコールを待ちながら、2,500人のファンが“暁ノ糸”を合唱した。会場後方にいる子供たちから年配者、多くの音楽ファンの若者、フランス、イギリス、トルコ、韓国から訪れたファンなど、和楽器バンドのファン層は幅広い。
それは驚くことなのか?ロック、メタル、日本民謡は交わらないように見えるが、実際は全てが上手く調和するのだ。これらのジャンルは、劇的でパワフルなメロディー、芝居のような表現と大掛かりな演出を用いる。そして和楽器バンドはそれらを見事に融合させるのだ。
その通り。和楽器バンドはスペクタクルに溢れている。それが彼らのライブを唯一無二にするのだ。
和楽器バンドの1st US Tour衝撃–DEEP IMPACT は、7月12日にロサンゼルスのClub Bahia、7月14日にサンディエゴのHouse of Blues、7月16日にサンフランシスコのThe Fillmoreにて開催。
WagakkiBand 1st US Tour 衝撃 -DEEP IMPACT-
7/12/2016 Club Bahia, Los Angeles, CA
7/14/2016 House of Blues, San Diego, CA
7/16/2016 The Fillmore, San Francisco, CA
ツアートレイラー
千本桜 MV
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